2022年 9月10日(土)に第70回研修会を行いました。今回のテーマは「つなぐ」児童精神医療と学校の連携とは?でした。講師には児童精神科医療に長く携わられている心療クリニックの先生、精神保健福祉士の先生、そして院内学級を担当されている先生にお願いしました。
○児童青年期精神科臨床の心得とは?
まずは心療クリニックの先生に講演をしていただいました。
精神疾患の発症モデルや児童青年期の精神科臨床についての概要を紹介していただいた後に、児童青年期精神科治療の心得についても教えていただきました。以下紹介します。
・子どもの発達段階を知る
・行動の背景を探る
・精神療法的関わりを重視する
・こどもを関係性の鏡としてみる
・親を責めず、協力者とする。
・焦らず。ゆっくり構える
・ときに迅速な対応が必要とされる
児童青年期精神科治療だけでなく、子ども達と関わるすべての大人に必要な所もたくさんありますね。
○児童精神科医療と学校現場の連携について
次に、精神保健福祉士の先生から、医療と学校の連携についての実践を紹介していただきました。
学校の先生方の困り感は感じながらも、なかなか児童精神科医療と学校現場との連携がうまくいかない。それを解消するためのに、学校連携シートを作成されたそうです。
細かなシートの内容については紹介することができませんが、学校として困っていることも伝えることができ、児童精神科医療側としても知りたい情報が知れるように記入項目を工夫して作成されているそうです。
参加された方々からは、「記入を通して学校としてのアセスメントを整理することができる」「病院側のアセスメントを知れるので、そのズレなどから知見が広がる」などの意見がありました。
○院内学級と医療・地域の学校との連携について
最後に精神科の院内学級に勤めておられる先生から院内学級の実情について紹介していただきました。
・入院時
入院時には、主治医から担任になる先生に情報が入るそうです。そこで授業をするに当たっての配慮事項や学習条件などの情報を共有するそうです。
・入院中
入院中は、子どものことについて看護師と担任で情報共有を結構密に行うそうです。担任のいない時間の様子などについては看護師さんが教えてくださるそうです。
・主治医や看護師・心理士などが医療としてのアセスメントを踏まえた情報を担任に伝え、担任はそれをもとに授業をする。
・担任の個別の相談にものってくれる。
・月1回の学校病棟連連絡会などを通じて子どもの情報を共有する
など、関係者同士の連携がかなりしっかりと図られているそうです。
・退院が近くなった時
退院するときには、子どもが通うことになる地域の学校に試験登校をするそうです。その際には地域の学校と配慮事項などを共有し、慣らしていくそうです。ただ、これはコロナ階の居間なかなかできていないそうです。
・退院時
試験登校も終え、退院するときには、退院後も利用できそうなサービスとの連携を繋いだり、地域校の方に入院中の様々な様子を主治医や看護師、院内学級担任が引き継ぎ事項などを伝えたりするそうです。
入院中の生活の名でソーシャルワーカーの存在が大きいそうです。医療の立場も、教育の立場もどちらにも知見のあるソーシャルワーカーがいると、子供に関わる大人たちの連携がスムーズに行きやすいとそうです。
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