広島子どもの心支援ネットワーク第63回研修会&総会

期日:2021年5月22日(土)13:30〜17:30

場所:オンライン(Zoom

 

テーマメンバーの実践発表に学ぼう!

 

内容:実践発表

   ①広島市公立小学校教諭

   ②東広島市公立小学校教諭

   ③医療法人浅田心療クリニック 心理支援スタッフ

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 今回の実践発表は、誰もが感心するような立派な発表というより、“いろいろやってみたけどなかなか上手くいかないこともあって困っている”という発表でした。

 

 現場の先生が、「わかる!」と思える悩みや困り感について、参加者のみなさんで考え話し合って、発表者の先生のみならず、参加者の先生や学生にとって多くの気づきや学びを得る研修会になりました。

 

 学生や現職の先生、その他様々な職種の方が、ともに考え話し合い学びあう「広島子どもの心支援ネットワーク」は、他にはない“参加型”(時に発表者として!)の研修会。

 

ぜひ、多くの皆さんに、学びあう仲間に加わっていただければ嬉しいです☆彡

 

それでは、以下に今回の発表の詳しい内容を載せますので、その雰囲気を感じてくださいね。

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広島市公立小学校の先生の実践発表

 

 今年度教員2年目を迎えた先生。1年目から、栗原先生のゼミ生として学んだことを活かして、PBISPositive Behavioral Interventions & Supports,ポジティブな行動介入と支援)の実践に取り組んだ。

 

 具体的には、校訓である「つよく」「やさしく」「まじめに」の3つを求められる価値に位置付け、行動チャートを作成、子ども達が目指すべき“のぞましい行動”を示した。仲間の頑張りに対しては、子ども達同士でカードを書いて渡し合い、のぞましい行動の強化を行った。

 

 教員1年目からこれだけの仕掛けを考えて実践していけるなんて、さすがは栗原研の卒業生ですねぇ!

 

 しかし、実際にやってみるとなかなか理論通りにはいかないもの(またそれがおもしろいところなんですけどね)。カードをもらえる子が偏ったり、書くのを忘れたり、だんだん飽きてきたり、ネガティブな行動が減らなかったり…(いや、相対的にポジティブな行動が増えてこないのかも?)。

 

 2年目になると、なかなか指導の入らない“やんちゃくん”が登場。どうやら発達に課題もありそうだが、周りの子ども達には簡単に理解できるわけでもなく、やんちゃ行動のコラボてんやわんや!というわけで、今回の先生のご相談は…

 

 ①やんちゃくんの授業参加を目指した個別支援は?

 ②やんちゃくんとコラボしてしまう周りの子への対応は?

 ③PBISをうまく継続していくのは?

 

さて、みなさんならどうしますか??

 

 オンライン(Zoom)開催の研修会でしたが、ブレイクアウトルームでのグループワークを行い、出された意見を全体で共有。様々な意見が出されました。正解はありませんので、皆さんもいろいろ考えてみてください。そして、ぜひ心ネットに参加して意見交流しましょう♪

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東広島市公立小学校の先生の実践発表

 

 不登校傾向で、発達や愛着にも課題が疑われる子どもへの支援に関するお悩み(あまり詳しいことは書けませんが、みなさんの周りにもこういう“気になる子”いますよね?)。

 

 通級指導教室には通っているが、なかなか教室に入ることはできなくて、みんなと同じように授業を受けることができないのが課題。担任、学校としては、以下のような目標を本人、保護者と確認したという。

 

 ①毎日登校すること(通級も含めて)

 ②学習に取り組む

 ③給食や休憩時間、図工や道徳の授業は教室へ

 

さて、みなさんはこの事例、どう思いますか?

 

 そうですねぇ。やっぱり皆さんから出された意見で多かったのは、「その目標って子どもにとっての目標?学校の目標?」ってことでした。

 

 子どもの支援を進めていく上で大切なことは、まず適切なアセスメントを行い、子ども自身のニーズやリソースを考えながら、しっかりとしたゴール設定をすることです。

 

 これに関しては、栗原先生から「戦略」「戦術」「戦法」という話がありました。

・戦略・・・ゴールを達成するための総合的・大局的・長期的計画 

・戦術・・・ある場面における戦略遂行のための方法・手段 

・戦法・・・実際の戦いで使用する具体的な技術

 

 つまり、個別であれ集団であれ、ゴール設定をして、長期的な支援計画をたて(戦略)、具体的な取り組みを仕掛け(戦術)、細かな工夫や道具の活用(戦法)が重要ということです。

 

 学校は、日々本当に目まぐるしく忙しい…。そのために、ついつい「すぐできる方法」に飛びつきたくなりますよね。でも、戦法だけをいくら行っても、しっかりとした戦略を持っていないと、結局は失敗に終わります。

 

皆さん、ぜひ心ネットで、理論に基づいた実践をともに学びあい、戦略を持って学校教育に取り組んでいきましょう!子ども達の明るい未来のために☆彡

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③浅田心療クリニックの先生の実践発表

 

 最後に、医療法人浅田心療クリニックの先生の実践発表。こちらは、悩み相談というよりかなり素晴らしい実践の発表でした。

 

 教育と医療の連携に関して、様々な困難さを感じて、その改善のために「連携シート」を考案したとのこと。

 

【連携上の困難】

・(学校が)どう伝えたらいいかわからない

・保護者とこじれてしまったとの相談

・保護者との間で(医療との連携に)同意が取れていない

・医師から保護者に〇〇と言ってほしいという注文

・自傷、他害のリスクがあるが学校として判断できない

などなど…。

 

 こうした学校の悩みや連携の際の行き違いを解消するための「連携シート」。こんな風に医療側から連携への歩みよりをしてくれる心療内科や精神科はめずらしい!!本当にありがたいことだと思います。

 

「チーム支援」が必須と言える現代の教育において、医療との連携は欠かすことのできない支援リソースと言えます。皆さんも、医療との連携でお悩みの際は、浅田心療クリニック(https://www.asadamentalclinic.jp/index.html)にご相談ください。

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今回の研修会報告は以上です。

広島子どもの心支援ネットワークは、どなたでも参加可能です。

合言葉「子ども達の明るい未来のために」

願いを同じくする仲間と、学びあい深め合っていきましょう!

みなさん、仲間とお誘い合わせの上、お気軽にご参加くださいね。

広島子どもの心支援ネットワークhttps://hiroshima-coconet.jimdofree.com/